目次
はじめに
管理職としてチームを率いる中で、部下との信頼関係がうまくいかないことは珍しくありません。特に新任の管理職にとって、過去の業務上のトラブルが原因で、部下から反発を受けることもあります。「あなたには嫌悪感と不信感があるため指示されてもやりたくありません」と言われたら、どのように対応すればよいのでしょうか。
今回は、実際にこうした状況に直面した場合に、適切に対応しつつパワハラと受け取られない方法を紹介します。
1. 冷静に事実確認をする
最も重要なのは、感情的に反応せず、冷静に事実を整理することです。感情的に対応すると、状況を悪化させる可能性があります。焦らずに、状況を客観的に見つめることが大切です。
具体的な対応方法
- 部下の発言の背景を探る
- どの案件が問題だったのか?
- どのような対応が不信感につながったのか?
- 彼女以外の関係者も同様の意見を持っているのか?
- 関係者の意見を収集する
- 部下以外の同僚、上司、人事担当者に話を聞き、公平な視点で状況を把握する。
- 部下が過去に他のチームや上司とどのような関係を築いてきたかを確認する。
この段階では「対立」を避け、事実の整理に徹することが重要です。事実と感情を切り離し、論理的に整理することが求められます。
2. 信頼関係の再構築 or 配置転換の検討
部下の不信感を払拭し、最低限の業務遂行ができる関係を築くか、適切な人事対応を検討する必要があります。
(A) 信頼関係を修復する場合
- 部下の意見を尊重する姿勢を見せる
- 「私のやり方が問題に感じられているのは理解しました。ただ、仕事を円滑に進めるために、あなたの意見を具体的に教えてもらえませんか?」と冷静に対応。
- 部下の意見を聞くことで、適切な解決策を見つけることができる。
- 業務の透明性を高める
- 指示の理由を明確にし、業務の進め方を整理することで、誤解や不信感を減らす。
- 具体的なタスク管理を導入し、進捗を可視化する。
(B) チームから外す場合の準備
- パフォーマンスに基づく評価を収集する
- 「業務遂行能力」に焦点を当て、部下が業務に支障をきたしている証拠を集める。
- 業務改善の機会を与え、それでも改善されない場合の記録を残す。
- 異動の可能性を検討する
- 上司や人事に相談し、本人のキャリアや適性に応じた異動を提案する。
- 適材適所の観点で、新たな環境の方が部下の能力を活かせるかを考慮する。
3. パワハラと受け取られないようにするポイント
部下への指導がパワハラと捉えられないように、慎重な対応が求められます。
(A) すべてのやり取りを記録する
- 口頭だけでなく、メールやチャットなど記録に残る形でやり取りする。
- 重要な会話は議事録を作成し、部下にも確認してもらう。
- 上司・人事・第三者を同席させることで、客観的な証拠を確保する。
(B) 「個人攻撃」ではなく「業務改善」の視点で指導する
- 「あなたの態度が悪い」→「業務を円滑に進めるために、具体的にどう改善すべきか?」
- 「やる気がないなら辞めろ」→「業務上の課題をどのように解決できるか?」
- 部下が納得しやすい形で指導する
(C) 上司・人事と連携する
- まずは上司に相談し、指示を仰ぐ。
- 人事部門に状況を説明し、適切な対応を確認する。
- 彼女とのやり取りを報告し、第三者の意見をもらう。
4. 異動・配置転換を進める際の注意点
もし、部下の態度やパフォーマンスが改善せず、異動・配置転換が必要な場合は、以下のプロセスを慎重に進めます。
(A) 「業務上の問題」として伝える
- 「部下が拒絶している」ではなく、「業務遂行に支障が出ている」と論理的に説明する。
- 「チームの成果に悪影響がある」と客観的な証拠を用意する。
(B) 正当なプロセスを踏む
- ヒアリングを実施(記録を残す)
- 「業務改善計画」を作り、具体的な改善策を提示
- 一定期間後に評価し、問題が改善しなければ人事と相談
- 最終的な異動・配置転換を決定
まとめ
管理職として、どのような部下とも円滑にコミュニケーションを取ることは重要ですが、場合によっては適切な配置転換も選択肢の一つです。その際は、「記録」「透明性」「正当性」を重視し、パワハラと誤解されないよう慎重に進めることが大切です。
部下との関係に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

