はじめに
“株で資産を育てる”という道を私は歩み始めた。これまでは S&P500 インデックス投資などである程度の基盤を持っていたが、「個別株でキャピタルゲインを狙いたい」という気持ちが湧いてきた。そんな中、ChatGPT に「これから上がりそうな銘柄」を聞いたら、DNP(大日本印刷、証券コード 7912)が候補に入ってきた。そこで 2025年9月9日、株価 2,621円 辺りで 100株 を購入。現在は約 500円 の含み益という状態だ。
この記事では、なぜ DNP を選んだか、最新の業績や指標、比較銘柄との比較、自分なりの戦略を資産形成という観点から丁寧に整理する。読者のあなたが「自分ならどうするか」を考えるヒントになれば嬉しい。
なぜ DNP を選んだか
選択理由を具体的にしておくことで、判断の軸を共有できると思う。
- ChatGPT の銘柄推薦をきっかけに
投資初心者ではないとはいえ、個別株の棚ぼた的発見は意外性と面白さがある。AIツールに「上がりそうな銘柄」を尋ね、その中に DNP があったことは、自分の見落としていた可能性を補う手段として良かった。 - PER・PBRなどの指標がそこまで過熱していない
最新で PER 約 13 倍・PBR 約 1.04 倍というのは、「割高すぎる」と感じるほどではない。成長余力がありつつ、リスクも限定的と判断した。 - 配当・安定性も少し欲しい
キャピタルゲイン重視とはいえ、利益の上がる企業で配当も期待できるなら安心感がある。配当利回りが 1.5% 台で爆発的ではないが、安定した利回りを持っている会社である点が評価できた。 - 下げをある程度耐えられる構造
投資全体では数%にとどめること、さらに半分以下の下落でも心理的に大きな痛手にならないようリスク許容度を見定めていた。 - 他の銘柄との比較対象があったこと
ソラコム、資生堂、ニデックなど、他にも気になる銘柄はあった。候補を比較できたことで DNP を選ぶ納得度が上がった。
DNPの現状と強み・注意点
先のデータ整理も踏まえて、DNPの現状と「資産形成用としての強み」「注意すべき弱点」を書く。
強み
- 増収傾向:売上高は前期比でプラス。最新予想でも若干の伸びを見込んでいる。
- 第1四半期決算の進捗がまずまず:経常利益の進捗率が約 26.9%で、過去の四半期進捗率平均と比べても極端に低いわけではない。
- 財務の安定性:自己資本比率が約 59.2%、ROE は約 9.62%。
- 割安とも言える指標:PBR ≒1.04、PER ≒13 倍というのは、過度な夢のような成長を織り込んでいない分、価格変動リスクは比較的抑えられている可能性がある。
- アナリストの目標株価・レーティングも注目:IFIS 株予報では、「強気」評価を継続、目標株価を引き上げたという情報あり。
注意点
- 経常利益予想の減少見込み:2026年3月期は会社予想で経常利益が前期比 −9.4%と減益見込み。
- 最終利益の減少予想:当期利益(純利益)の予想も減少幅が比較的大きい(−18.7%)。
- 成長の勢いには限界がある:印刷・製造系のコスト構造・素材コスト・環境規制・デジタル化への変遷の影響など、構造的に伸びしろがすごく大きいわけではない。
- 配当利回りが高くない:1.52% 程度。資産形成で「配当再投資戦略+冒険的キャピタルゲイン期待」を組みたい人には、満足できない場合がある。
- 株価変動のリスク・心理的コスト:キャピタルゲイン狙いである以上、含み損になる期間は耐える必要がある。半分以下の下落でも耐えられるとは言ったけれど、それでも心的負荷はかかる。
比較銘柄との比較
君が気になっていた銘柄(ソラコム、資生堂、ニデック)とも比べて、「DNP を選ぶ意味」をクリアにしたい。以下は比較表と私の比較考察。
| 銘柄 | 現状の強み | 成長余力 | リスク | 向いている戦略タイプ |
|---|---|---|---|---|
| DNP | 安定性が高く指標が過熱してない/第1四半期で営業利益率改善中/アナリスト評価も一定あり | 減益予想があるが、安定した部門基盤あり。キャピタルゲインも中程度狙える | 成長スピードは限定的。デジタル化・素材コスト・製造業の構造変化に弱い可能性あり | 中期〜キャピタルゲイン狙い派、比較的リスク許容度あり。安定収益基盤を重視する人向き |
| ソラコム | (仮に通信・IoT系などの期待ドメインで)業界トレンドに乗れる可能性が大きい | 成長期待が大きいが、それに比例して変動・失敗リスクも大 | 技術・競争・規制・収益モデルの不確実性が大きい | リスク高めでもリターンを取りにいきたい人、成長株追いかけるタイプ |
| 資生堂 | ブランド力が強く、グローバル展開・化粧品トレンドの追い風あり | 成長可能性あり。ただし消費者トレンドの変化・原料コスト・為替リスクなど注意 | トレンド変動大。景気敏感株であり、コスト上昇や消費冷え込みリスクあり | 安定ブランド株をフォローしたい人。中長期配当+ブランド力への信頼を重視 |
| ニデック | 高精度モーターや電子機器のニーズが世界的にあるため、成長領域に属している | 技術革新・グローバル需要次第でリターン大。ただし過度な期待で織り込み過ぎの場合も | 研究開発コスト・競争激化・為替などの外部ショックある。業績変動が大きい可能性 | 成長株・技術株が好きな人。長い視点と志向性がある人向き |
含み益・損リスクと心理・家族との関係
君は「数%」を投資全体の中では許容範囲にすると言っており、さらに「半分以下でも耐えられる」とのこと。これが資産形成で非常に重要な要素だ。
- 小さめの割合で「賭ける」ことによって、含み損が出ても家計に致命傷を与えない。
- 妻との関係で、損益については時々話をするが、あまり興味を持たれない。これは逆に良い:過剰に家族の期待やプレッシャーをかけず、自分の判断で冷静に動ける。
- 心理的コストを下げるために、日々の株価チェックやニュースの追いかけ過ぎを避け、主要な決算や材料が出たときだけ注目、というルールを自分に設定するのが良い。
自分の戦略(資産形成を意識して)
キャピタルゲイン狙いで、長期保有は S&P500 で補完するというスタンスをとっている君だからこそ、以下の戦略を取るのが賢いと思う:
- 保有期間の目安を設定する
例:少なくとも 2~3 年保有。減益予想が出ていても一時的なら耐えて、業界トレンドが好転するかどうかを観察。 - 利確ルールと損切りルールをあらかじめ決めておく
たとえば +20〜30% の含み益になったら一部を利確する、あるいは −30〜50% 含み損になったら見直す、など。 - 配当再投資も考慮する
配当利回りは高くはないが、配当を受け取ったらそれを他の期待銘柄か DNP の追加買いに回すことで複利を活かす。 - 業績・予想の変化を定期チェック
特に次の四半期決算・会社予想の修正・アナリストのレーティング変更など。 - 分散投資を併用
既に君が S&P500 を持っているというのは大きな強み。個別株 DNP はポートフォリオのアクセントとして位置づける。成長性の高い銘柄を少し混ぜて、リスクとリターンのバランスを取る。
家族とのエピソード
「妻に時々損益の話をするが、あまり興味を持たれない」というのは、逆に都合がいい点もある。期待・プレッシャーが低ければ、自分の戦略を柔軟に変えやすい。しかし、「共有できるポイント」があると、一緒に喜んだり不安を軽減できたりするので、こういう話を入れておく:
「昨日の終値で少し含み益だったよ、と妻に話したら、「100円でもプラスなら良かったね」と笑ってくれた。自分にとってはキャピタルゲインを追う緊張があるけど、家族の穏やかな反応は心的なバッファになる。」
こういう小さなエピソードを記事に入れると、読者も「自分だったらどうするか」を想像しやすくなる。
結論:私が今後どうするか
この記事を書いた今の時点で、私が取ろうと思っている具体的アクション:
- DNP株はこのまま保有継続。目標株価 3,000円前後を一つの目安に。IFIS 株予報などで目標株価引き上げの動きがあることも確認している。
- 利益率が +20〜30% に達したら、一部を利確してキャッシュを確保。これでリスクを分散。
- 同時に、ソラコム・資生堂・ニデックの状況を定期的にチェック。もし DNP に比べて成長見込みが強いと判断できるなら、そちらへの資金シフトも検討する。
- 配当所得を他銘柄の追加購入あるいは DNP の再投資に回すことで、全体の資産の複利を効かせる。
- 家計・生活の効率化の視点から、投資調査の時間を割きすぎないように。たとえば月に1回「投資ニュース+決算プロンプト」を読む時間を決め、その他は忘れるくらいがちょうどいい。
締めくくり
資産形成はマラソンのようなものだ。瞬発力(ギャンブル的な大きく上げる株を当てること)だけでなく、ペース配分・体力(資金・心理)・景色(他の銘柄・市場全体の動き)を見ながら歩くことが重要だと私は思う。
DNP を選んだのは、「比較的安全マージンがありつつもキャピタルゲインの期待もある」というバランスが取れていると感じたから。もちろんリスクはあるが、君のリスク許容度(数%/半分以下でも耐えられる)を考えると、このスタンスは十分合理的だ。
この記事を読んでくれたあなたも、「自分の資産形成の軸」を明確にしつつ、個別株を取り入れるかどうかを考えてみてほしい。DNP のその後の動きも、追ってまた共有したい。


